(1)博物館便り
JCA(日本サイクリング協会)の会員向け情報誌がリニューアルされ、その第1号が発行された。春夏秋冬の4回発行される予定だ。
今回からは広告も9ページ程も入っていて、全てカラーページで表紙も入れると28ページのきれいな情報誌に仕上がっている。恥ずかしながら巻頭のインタビューを私が受けて、4ページにわたり「一番エコな交通手段が自転車」ということを説明している。
私が一番言いたかったことは、エコ=二酸化炭素の減少ではないことだ。燃料電池車は走行中に排ガスを出さないので、“究極のエコカー”と言われている。では自転車と同じくらいエコな乗り物と言えるかである。エコかどうかはそのモノの原料採取、生産、流通、使用、廃棄にいたるまで、モノの全ライフサイクルを通して環境負荷を知る必要がある。その観点から燃料電池車を見ると、重さ1トンを超える乗り物を作るということは限りある資源を1トン消費することであり、燃料の水素をどうして作るのか?使い終った燃料電池はリサイクルに回すとしても、そこでは熱を加える工程が必ずある。自転車の重さは8kgから20kgまでで、50分の1か100分の1の資源とその加工に要する熱は同様に少ない。しかも使用する時に燃料電池車は水素を消費するが、自転車は人間のエネルギーを使う、エネルギー効率は歩くよりはるかに優れている。こう考えると、あらゆる交通手段の中でエコなのは自転車と言える。ただ使い捨てではなく、BAAという安全規格の良いものを長く使う事、継続してこそ、その効果が高まる・・・といった事を述べた。そして自転車に継続して乗り続けるためには自転車に乗る楽しさを身体で覚えることが必要で、息の切れないペースを守る。車の少ない道を走る。利用目的に合った自転車を選ぶことが大事だと説明しています。

(2)通勤サイクリング便り
梅雨の合間に射し込む太陽の力は強さを増している。私も年齢が年齢だけに、日焼けは出来るだけ避けて走りたいので、ウィンドブレーカーなど着用して走るか、陽射しが弱まってから帰る日々である。
最近少し左膝を痛めてしまった。少しサドルを高くして走っていたためと思う。サドルを高めに設定すると、一時的に筋力を出すのに有効だが、お尻が痛くなるし、膝も痛める事が多い。1980年頃にツール・ド・フランスで5勝して活躍したベルナール・イノー氏もその著書で、サドルの高さを変えるのは1mmきざみで少しずつにすると書いていた。 サドルを少し低くしたら痛みは解消した。
欧州自転車レースもジロ・デ・イタリアが終わり、もう来週からツール・ド・フランスの季節だ。テレビで見るレースも展開が気になって目が離せないのは宿命だ。先日出版された「チクリッシモ」はジロ・デ・イタリアの特集だったが、砂田弓弦氏の写真がすごく美しいので驚いた。撮影や印刷の機材の進化はあると思うけれど、彼の写真には美しいイタリアの風景の中のレースを感動的に捉え、見る人にレースの本質を伝える力があります。(中村博司)
