2008年06月28日

★2008年6月第5週

[ 6月29日 一番エコな交通手段が自転車]
(1)博物館便り

JCA(日本サイクリング協会)の会員向け情報誌がリニューアルされ、その第1号が発行された。春夏秋冬の4回発行される予定だ。
今回からは広告も9ページ程も入っていて、全てカラーページで表紙も入れると28ページのきれいな情報誌に仕上がっている。恥ずかしながら巻頭のインタビューを私が受けて、4ページにわたり「一番エコな交通手段が自転車」ということを説明している。
私が一番言いたかったことは、エコ=二酸化炭素の減少ではないことだ。燃料電池車は走行中に排ガスを出さないので、“究極のエコカー”と言われている。では自転車と同じくらいエコな乗り物と言えるかである。エコかどうかはそのモノの原料採取、生産、流通、使用、廃棄にいたるまで、モノの全ライフサイクルを通して環境負荷を知る必要がある。その観点から燃料電池車を見ると、重さ1トンを超える乗り物を作るということは限りある資源を1トン消費することであり、燃料の水素をどうして作るのか?使い終った燃料電池はリサイクルに回すとしても、そこでは熱を加える工程が必ずある。自転車の重さは8kgから20kgまでで、50分の1か100分の1の資源とその加工に要する熱は同様に少ない。しかも使用する時に燃料電池車は水素を消費するが、自転車は人間のエネルギーを使う、エネルギー効率は歩くよりはるかに優れている。こう考えると、あらゆる交通手段の中でエコなのは自転車と言える。ただ使い捨てではなく、BAAという安全規格の良いものを長く使う事、継続してこそ、その効果が高まる・・・といった事を述べた。そして自転車に継続して乗り続けるためには自転車に乗る楽しさを身体で覚えることが必要で、息の切れないペースを守る。車の少ない道を走る。利用目的に合った自転車を選ぶことが大事だと説明しています。

08.6-5.jpg日本サイクリング協会の会員に年間4回配布される予定の情報誌「サイクリング・ジャパン」の表紙。






(2)通勤サイクリング便り
梅雨の合間に射し込む太陽の力は強さを増している。私も年齢が年齢だけに、日焼けは出来るだけ避けて走りたいので、ウィンドブレーカーなど着用して走るか、陽射しが弱まってから帰る日々である。
最近少し左膝を痛めてしまった。少しサドルを高くして走っていたためと思う。サドルを高めに設定すると、一時的に筋力を出すのに有効だが、お尻が痛くなるし、膝も痛める事が多い。1980年頃にツール・ド・フランスで5勝して活躍したベルナール・イノー氏もその著書で、サドルの高さを変えるのは1mmきざみで少しずつにすると書いていた。 サドルを少し低くしたら痛みは解消した。
欧州自転車レースもジロ・デ・イタリアが終わり、もう来週からツール・ド・フランスの季節だ。テレビで見るレースも展開が気になって目が離せないのは宿命だ。先日出版された「チクリッシモ」はジロ・デ・イタリアの特集だったが、砂田弓弦氏の写真がすごく美しいので驚いた。撮影や印刷の機材の進化はあると思うけれど、彼の写真には美しいイタリアの風景の中のレースを感動的に捉え、見る人にレースの本質を伝える力があります。(中村博司)

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2008年06月21日

★2008年6月第4週 

[ 6月22日 I Love Bicycle]
(1)博物館便り
先週18日(水)は、新潟の「にいがた市民大学」の10回で行われる講座「自転車の”みち”をつくろう」の5人目の講師として講演を行った。私の担当は「自転車の歴史と未来」である。今春にNPO自転車活用推進研究会より講演を依頼されていた。
今月に入ってから講演資料の作成にとりかかった。最近はTVの取材、シンポジウムの出演は自転車のルール改正に関わる問題が多く、自転車の歴史について講演する機会がなかったので、資料作成はゼロからのスタートになった。まず私の5分程の自己紹介、自転車の誕生に関する4つの伝説。ドライジーネ、ミショー型ボーンシェーカー、トライシクル、セイフティーまで説明し、ここで気分転換を兼ねて「夢・自転車」のDVDを12分で見てもらうことで、前半部分の講演の復習にもなる。
後半は1930〜50年代の自転車レース車を見せ、1973年のデュラエースの誕生に立ち会った私の体験談を交えて、レース用自転車の発達のポイントを話した。マウンテンバイクはなぜアメリカで生まれ、どのようにして世界に広まったかを話した。
こうした現代の歴史についてはまだ評価が定まっていないかもしれない。しかし間違いなくその時代に私は自転車の世界で生きてきた。私は今は自転車博物館の学芸員として、一つの評価をすべき立場にいると思う。
その観点で私が考える自転車の歴史を話したのである。また自転車の未来については、自転車というハードが自転車の未来を決めるのではなく、21世紀に生きる人が自転車をどのように使い、活用するかで決まるというのが私の考えなので、当館の自転車の未来を創る活動として絵画コンクールや自転車乗り方教室、自転車散歩などのイベント紹介を行った。合わせて「堺自転車のまちづくり・市民の会」での活動や「キャリア教育プロジェクト」で活動している事を紹介した。
講演は約1時間40分で、質問時間を20分とったが、折たたみ車、障害者向自転車、まちづくり等に質問がたくさん出て関心の高さが実感できて嬉しかった。

08.6-4.jpg自転車歴史を説明する。ドライジーネ、ミショー型、オーディナリーからセイフティーになります。




(2)通勤サイクリング便り
今週は3日も出張が入り、自転車に乗る日が少なかった。自転車に乗らないとどうも体の調子が悪い。特に梅雨の時期は湿気も多く、体がシャキッとしない。やっぱり自転車が好きだと実感する。
先日イタリアの大阪駐在の総領事さんが来館してくださった。堺市を訪問し、ご本人も自転車好きとの事で、当館を訪問するのを楽しみにしておられたとの事。来館早々に「I Love Bicycle」とおっしゃった。
長身のダビデ・ジリオ氏という本当に自転車が大好きなイタリア人で、展示されているイタリア車はもちろん、ジロ・デ・イタリア優勝車、ブーニョ選手の自転車とジャージーには驚き喜んで、是非プライベートにまた来たいと言ってもらえ嬉しかった。(中村博司)
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2008年06月13日

★2008年6月第3週

[ 6月15日 自動車保有台数の減少は車社会脱却の始まりとなるか]
(1)博物館便り
先週10日に国交省が発表した日本の自動車保有台数は、06年に比べ07年は155,000台減少したとのことだ。自動車の保有台数は7,900万台ほどだからわずか0.2%の減少にすぎないが、統計を取りはじめた1946年以降の前年度割れは初めてのことだ。理由としては若者の自動車離れや、ガソリン価格の上昇が考えられるので、08年度はその勢いを加速すると思われる。しかしこの事をもって、自動車社会から自転車社会への転換の年になるとは考えにくい。
自動車のための道は環境整備が進んでいるが、自転車を利用する環境は皆さんご存知の通り、大変貧弱である。自動車の運転手が、自転車が車道を走る事を常識とすることで、車道を自動車と自転車が仲良く共存する取組みは、今月1日から施行された道路交通法改正で始まったばかりである。
5月に私が還暦を迎えた事はこの日記で書いたが、今年は運転免許の書き換えの年になっていた。免許更新時の教材として配布される「交通の教則」が6月1日より改訂されると聞いていたので、6月になってから免許更新手続きに行った。一応ゴールド免許なので、講習時間はわずか30分で終了した。今回の道交法の改正は教則でどのように取り上げられ、講習の担当者はどのように説明するのか、大変関心をもって講習を受けた。
教則では自転車利用者対策の推進というタイトルで2ページに掲載されていた。2ページという事は、目次の次のページであり、この教則を監修した警察庁交通局の姿勢は素晴らしいが・・・。ただ講習の担当者は、自転車の説明をせず、4ページでの自動車の後部座席のシートベルト着用と高齢者マークの説明を中心に行っていたのは残念だった。

08.6-3.jpg交通の教則(平成20年6月改訂)の3ページにこのように自転車の歩道通行可能要件の明確化が示されました。しかし自転車は原則として車道を走るとは書いてありません。




(2)通勤サイクリング便り
梅雨入りしたが、幸い雨に降られる事は少なく、快適に走っています。
先日は堺自転車のまちづくり市民の会のメンバー7人と事務局の3人の合計10人で、自転車マップ改訂資料収集のため堺市内を走った。今回走ったコースは堺市の西の海岸地域だ。
大和川の河口から新日鉄の埋立地に入る。日本で3ヶ所目となるJリーグトレーニングセンターの工事現場の前を通り奥へ進むと、シャープの液晶パネル工場の巨大な建設現場を左に見てさらに進むと、堺市の海とのふれあい広場に到着した。毎年冬にはロードバイクのクロスカントリーレースであるシクロクロスのレースが開催されている。この季節は犬の散歩のために訪れる人が多いようだ。
引き返して、堺の古い港に出る。港の入口には昨年修復された木製灯台がきれいに見えた。その港に面して巨大な「龍女神像」が立っている。いつも遠目にしか見ていなかったので、近くで見てその大きさに少々圧倒された。自転車で巡る堺の観光資源は徐々に整備されてきた事を実感した。
堺に来られた時は主要駅や当館にある高級な観光レンタサイクルを借りて走ってみて下さい。(中村博司)

08.6-3-1.jpg1903年に設置され、1974年に一度撤去されていた。
2000年に復元設置された「龍女神像」。ライトアップ用の照明設備がある。





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2008年06月07日

★2008年6月第2週

[ 6月8日 自転車のへの追風はさらに強さを増してきた。]
(1)博物館便り
堺市は新型路面電車(LRT)を使い、市内中心部を東西に結ぶ計画(南海高野線堺東駅と南海本線堺駅間1.7km)で平成20年度末の開業を目指している。基本計画ではシャープが液晶パネル工場を作っている堺浜までの5.2km区間も早期の実現を目指すと共に、市内を南北に走っている阪堺線という旧式の路面電車と相互乗り入れを計画している。
実はこの旧式の路面電車の堺市内の利用者が少なく、廃止も検討された時期があった。その存続を目指して「堺のチンチン電車を愛する会」が作られ、私も数年前から幹事となり活動している。先週行われた愛する会の役員会でLRTの説明を聞いた。大小路という広い道の中央部を一方通行にして、LRTを歩道に面した場所に停留所を作る案が示された。ここまでは私も賛成である。しかし車道とLRTの線路と歩道は図面案には示されているが、自転車レーンが書き込まれていない。
私にとっては大問題であり、「歩道上の自転車利用者と歩行者の事故は増しているので、はっきり分離すべきである」と申上げた。この愛する会には「広報担当」「イベント担当」「総務担当」があるが、今度から「LRT担当」を新設することが決議されたので、私はたぶんこの「LTR部会」に所属し、LRTへの自転車持ち込み等についても実現可能な方策を考えていくことになりそうだ。

08.6-2-1.jpgシマノとシマノ臨海の広告が描かれたチンチン電車です。



(2)通勤サイクリング便り
最近不思議な自転車を、通勤サイクリングの途中で時々見かける。
ディレーラー、すなわち後輪中央部に何枚もの小さなギアを装備していてチェンを掛け変える変速装置のついている自転車なのだが、この種の自転車はスポーツ車に多く、軽量化のためにスタンドは付けないか、付いても1本スタンドなど軽量のものが多い。しかし重そうなセンタースタンドが付いているものを見かけるのだ。いわゆるママチャリ(前かご付お買物用自転車)に多いスタンドが付いていて、私から見ればミスマッチに見えるのだ。主に通学や通勤に使われているようだ。喜んでいいのか悲しんでいいのかわからないが、多様な自転車が出来るという事は、新しい自転車利用者の出現という感じがする。
最近はガソリンン価格の急上昇で自動車の利用が減っているようで、その結果ファミリーレストランも来客数が減少しているとも聞く。テレビのインタビューにドライバーは「ガソリンが高くなったので自転車を買いました」と応えていた。そんな自転車への追風が影響しているのか、私の最初の著書「大人のための自転車入門」(日経新聞出版社)は第6回目の印刷をすることになったと連絡があった。3年前に比べ自転車に関する書籍はかなり増えて、もう新しい本に人気が移るのかと思っていた。有難いことであるが、新しい自転車利用者のための新しい本が必要になる。少しずつ新しい本の内容を考えています。(中村博司)

08.6-2第6刷が決まった「大人のための自転車入門」、丹羽隆志さんと小生の共著です。


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