(1)博物館便り
先週お知らせした種子島は、新しい発見が多く勉強になった。
22日の昼過ぎに種子島に着き、江戸時代に建てられた種子島の伝統的民家を見学した。国の重要文化財に指定されている古市家住宅である。
この古市家の先祖は大阪の河内国、古市から来島したという説明があった。そのあと種子島の有名スポット「種子島宇宙センター」を見学し、1543年に鉄砲を伝来したポルトガル人が乗った船が漂着した門倉岬を訪問した。
夕方という事もあり、観光客もいない静かな岬である。太平洋の大海原が目の前に広がっていた。ここに伝わった鉄砲が堺で大量に作られ、戦国時代の戦法を大きく変えて日本統一に大きな役割を果たしたと思うと感慨深い。
シンポジウムでは、私は時間をもらって、当館の活動やまちづくりの活動報告を行い、私が考える「火縄銃を核としたまちづくり」の考え方を示した。
火縄銃のもつ4つの面 @歴史的事実 A当時の最新の技術の産物 B銃の複製を可能にした生産技術 C儲かる商品としての商人の視点 などがある。
一方種子島の西之表市が目指すべきものとして、市民のための @環境整備 A健康促進 B市民にも観光客にも魅力ある街 Cまちづくり=人づくりとしての教育 がある。
この4つの面との整合性を発見して伸ばすことが、未来を切り開く作業だと思う。
まちづくりの具体的提案をしてほしいとのコーディネーターからの要請に応えて、私は種子島の最高地点が282mの起伏が少ない島という地形、温暖な気候、人にやさしい、親切な島民の文化から、島へ来てもらい、島の魅力を知ってもらうためにサイクリングイベントの開催を提案した。
車の通行が少なく、農業はサトウキビ畑が広がる走り易い道は、自転車の走るのに最適な環境にある。私も次回訪問する時は、私の自転車で走ってみたい。

(2)通勤サイクリング便り
北京オリンピックも終わり、秋風が吹き、本当に走り易くなった。
当館も北京オリンピックに記念して、各種の自転車競技に特化した自転車12台を展示しているが、オリンピックの関係者の来館はない。そう思っていたら、パラリンピックの車椅子バスケットボール競技に参加するオランダチームが来館してくれた。
シマノヨーロッパより、見学したいチームがあると連絡があったのは半月程前だった。
実はこのチームの車椅子のメカニックをしている人は、バート・ブーム氏で、ドミフォン競技(自転車専用トラックで行われる。先導するオートバイとチームを組み、空気抵抗の少ない状況をつくり、高速で走り着順を競うレース)のアマチュアの世界チャンピオンになった経歴を持つ。一時シマノヨーロッパで働いていて、彼のドミフォン車を当館に寄付してくれた。まず当館のビデオで自転車の歴史を学んでもらい、そのあと私が英語で「これから当館を案内しますが、最初に紹介するのは世界選手権の優勝車でバート・ブーム氏の自転車です」と言ったら、15人のチーム全員から一斉に拍手が起こった。
私のへたな英語より、自転車に詳しいオランダ人であるがゆえにバート氏はオランダ語で、この自転車の説明を始めた。館内では、絵画コンクールの写生に訪れた子供達と一緒に選手達は記念写真を撮ったり、楽しい時間を過ごしてもらえたと思う。(中村博司)
