(1)博物館便り
先週金曜日より近くのショッピングモール[イオンモール堺北花田]で「昭和の自転車」12台の展示を開始した。これはここ数年恒例で当館主催の絵画コンクールに出品したい子供達が写生するための展示である。もちろん当館に入館する人数の100倍以上の方が毎日訪れるショッピングセンターでの展示は、自転車に普段目を向けない方が自転車に関心を持ってもらえる機会でもある。展示の効果は簡単に確認できないが、毎年継続することで効果が期待できるものだ。私も15年程前にはシマノの宣伝課で働いていたことがる。その時ある勉強会で学んだ事は「広告の蓄積効果」というものだった。商品名や特長は一度や二度では消費者に覚えてもらえない。何度も何度も繰り返し視覚、聴覚に訴えることでその商品(今回は自転車の魅力)を頭に焼き付けることができるというものだった。
さて、今回の当館展示車紹介は、1887年にイギリスで作られたカンガルーと呼ばれる前輪が小さいオーディナリーである。オーディナリーは速く走るためペダル1回転で進む距離が長くなるよう巨大な前輪を使ったため大変危険な自転車になった。早く走れるのに止められないうえ、転倒すると高い乗車位置から前方宙返りするからだ。このカンガルーはペダル1回転で車輪が1.5回転するので巨大な前輪を使った時と同じく速く走れ、乗車位置も相対的に低くより安全と言えるのだ。


(2)通勤サイクリング
先週より夏休みに入り、ふだんは学校へ通学する子供達が我が家の近くの緑道(人と自転車の遊歩道)を歩かない。先週推奨した「緑のトンネル」を使って通勤サイクリングすることにした。木陰の道は私の通勤ルート15kmのうち約半分位の7.5km位はあるだろうか。
全コースが緑のトンネルになれば真夏でも自転車利用者が増え、健康や環境保全に役立つはずだ。この考えはアメリカのグリーンウェイ(緑道)運動の父とされるオルムステッドから始まった。世界初のグリーンウェイはボストンパークシステムで、オルムステッドはボストン周辺のいくつかの公園に緑の半円状の回廊を設けた。今日ではエメラルド・ネックレスと呼ばれている。
私もこんなエメラルド・ネックレスを堺に作りたいと考えている。2001年秋に行われた堺の文化を学ぶ堺市の外郭団体(財)堺都市政策研究所主催の「フォーラム堺学」で「堺と自転車」と題して発表した。あれから8年たって再び「堺・南大阪地域学」講座で講演を依頼されている。12月3日(木)の講演まで時間があるので、欧州の新しい自転車利用促進策の紹介も含め内容を考えていきたい。 (中村 博司)